5/21(日)にあった野辺山ウルトラマラソン。
大会レポも書き終わり、「あー楽しかった」という感じなのですが、僕の大会レポは僕の主観や走りながら考えていた内容のレポ。
もうひとつの、走ることによりフォーカスした振り返りを書いて、数字やペースで振り返ることもしておくことで次につなげていきたいという思惑があります。
ここで良かったことや課題を再認識して、次回はもっと楽しめるようにしていきたい。
今回の野辺山ウルトラマラソンは、手元の時計で、12時間37分という結果でした。
これは、今回の気温を考えると出来すぎな内容。
2022年大会で初めて12時間台でゴール出来て、今回も12時間台。
まだまだ課題は多いものの、少しづつウルトラを走れるようになってきており、これからもコツコツとトレーニングを積み上げていきたいと思います。
そんな2023年野辺山ウルトラマラソン直前の調整と当日の振り返りをしていきたいと思います。
4/16(日)チャレンジ富士五湖からの調整期間
今回、難しいなと感じたのが、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンから野辺山ウルトラマラソンの間の期間でした。
今まで「チャレンジ富士五湖は60km前後でDNFからの野辺山」という流れだった為、ある意味チャレンジ富士五湖が野辺山に向けてのポイント練みたいな役割を果たしておりました。
そして、「チャレ富士を完走出来なかったけど、野辺山は絶対にゴールするんだ」という燃え上がる魂を持って野辺山に乗り込んでいっておりました。
この流れが、今年はチャレンジ富士五湖で初めて118km完走出来たことで変わります。
- チャレンジ富士五湖はポイント練になどならず、完全に体が破壊された状態になった
- メンタルは、「118kmゴール出来たからどうにかなるだろ。疲労も抜けるだろ。過去最強なんだし」という謎の幻想を抱いた、腑抜けのような状態になった
この2点が直前まで、かなり心身共に難しい調整を強いられました。
最終的に、「回復するはず」「富士五湖118kmを完走出来た過去最強の自分」などと思って、「野辺山を完走出来るはず」などという幻想を抱いている自分がおかしいのだと気づき、気持ちの面で変な慢心がなくなり、トレーニングの面でも変に頑張りすぎずに当日まで過ごせました。
ケア
ケアは、ストレッチとトリガーポイントのフォームローラーやマッサージボールによるケアを中心に行いました。
他はよく食べて寝て、疲労感や走っている感覚が悪い時はジョグも止めて休養に努めました。
走らないと走力が落ちるのではないか?という焦りもありましたが、持っているダニエルズのランニング・フォーミュラの「休養と補助的トレーニング」の項に「トレーニングを止めても最初のうちは得られた効果の消失速度は遅い(本文より引用)」と記載もあり、本の中にある休養と体力の低下の関係性を示したグラフだと休養後3週間位でようやく体力の低下が現れるという感じでした。
「走らなきゃヤバい」と焦った時には、ダニエルズの本のグラフを見て「焦るな」と自分に言い聞かせて休むようにしました。結果的に、完全休養をしたり、走っても距離を減らす選択を出来たことはかなり大きかったのではないかと思っております。
実際、富士五湖から野辺山までの期間はそれまでと比べると大幅に走る量を減らして回復にあてましたが、そこまでの体力の低下はなかったように感じました。
富士五湖から野辺山までに行ったトレーニング
チャレンジ富士五湖直前までは週間走行距離100kmを走っており、野辺山ウルトラマラソン前も1回は週間走行距離100kmの週を作りたいと思っておりましたが、疲労面を考慮してやらずに過ごしました。
後から思えば、良い判断だったように感じますが当時はかなり焦っておりました。
4/17(月)~4/23(日)
チャレンジ富士五湖翌日の4/17(月)から4/22(金)までは休養。
未知の距離を走った体のダメージはかなりデカく、筋肉痛が相当のものでした。
筋肉痛もなくなった4/23(日)に20km位のマラニック的なのんびりランに出かけましたが心身共に走ることへの拒否が強く、途中からは電車で帰宅。
脚の筋肉痛はなくなったものの、走ると呼吸が荒れて、脳と体が全力で「走るのは勘弁してください」と言っている感じに改めて未知の距離を走るダメージの恐ろしさを実感しました。
4/24(月)~4/30(日)
この週で週間走行距離100km行きたいなぁと思っておりましたが、この前の週の状況を考慮して数字を追うのは止めました。
ただ、走る頻度は以前と同じに戻すことが出来、4/30(日)の30kmジョグはまぁまぁいい感じで走れましたが、20km前後でハムストリングス~ケツにかけての張りが出て、マッサージボールやストレッチでケアを続けましたが、本番まで完全に良くなることはありませんでした。
5/1(月)~5/7(日)
5/5(金)は足柄峠走に行きました。
20km過ぎるとハムストリングス~ケツにかけて張りが出る傾向を前週のジョグでつかんでいたので、登りはとにかくゆっくりと歩かずに登るということだけを意識して、下りは野辺山本番の79~85kmの馬越峠頂上からの長い下りをイメージして、安全運転で下っていくイメージで走りました。
5/7(日)は30kmジョグする予定でしたが、雨の為お休み。
5/8(月)~5/14(日)
5/10(水)は先週日曜日にやる予定だった30kmジョグをやる予定でしたが、22km位で疲労を考慮し中止。
この時期は予定していたトレーニングが出来ない事、なかなか疲労から回復しないことにすごく焦りを感じていました。
焦りを感じていた一方で、「ここで無理してやって故障したり、メンタルすり減って、元気にスタートラインに立てないのは一番良くない」と考えられていたのは良かった点かなと思います。
ただ、
「30km走ろうと思って、22kmで止めた」
のと、
「22km走ろうと思って、予定通り走れた」
では、走った距離が同じ距離でも全然受け止め方が違うと思うので、自分の状態を正確に見極めてメニューを組むようにしないとなと反省です。
振り返ると、「これくらい疲労は回復しているはず、だからこれくらいは走っておきたい」という願望ベースで特訓メニューをこの時期は組んでいたような気がします。
なるべくポジティブな状態でいれるように、自分の状態を見極めながら適切な特訓メニューの設定を出来るようにしていきたいと思います。
5/15(月)~5/21(日)野辺山ウルトラ当日
野辺山直前の週、最後の特訓として5/17(水)に4:50/km位のペースでパーッと6.6km走りました。
この特訓は昨年からウルトラマラソンの直前にやって、走りの感覚が良くなる気がするのでやっています。
ウルトラマラソンの特訓はジョグかそれよりゆっくりのペースでじっくり長く走ることが多い関係で動きが小さくなったり、心肺の刺激不足になりがちなので、直前に5km前後マラソンペース位でパーッと走って刺激不足の部分に刺激を加えております。
野辺山ウルトラマラソン本番!スタート~50km
レースプラン
野辺山ウルトラマラソンのレースプランは下記の通り。
- 前半の50kmまでは呼吸が荒れないペースの上限で可能な限り攻める
- 下り坂は可能な限り攻める
- 暑くなっても飲み物をがぶ飲みしない(腹タプタプになって2017年の野辺山でマーライオンになった前科ありの為)。体を水で濡らして気化熱で体を冷やす。
- エイドでフルーツがあったら食べまくる
- 恐らく気温が上がるので可能な限り早く日陰のある馬越峠に着く(北相木の折り返しゾーン~滝見の湯までは日陰が少なく暑いのでそこにいる時間を可能な限り少なくする)
- 馬越峠の登りは捨てて歩き、下りで取り返す
- 90kmからゴールまでは、長時間歩き倒さない
- どんな状況になっても、大会を、走ることを楽しむ
こんな感じのプランで挑みました。
ペース表は12時間30分位のフィニッシュタイムで作りましたが、「絶対にこのペースを死守する」というニュアンスではなく、自分が12時間30分のフィニッシュタイムに対してどの位置にいるかを把握する為にそう作りました。他に補給計画や自分への注意事項や叱咤激励を書き込み、都度走りながら確認し、のめりこんで補給ミスやその他のミスをしないようにする予防線の意味合いが強いです。
どうしてもキツくなると視野狭窄に陥ってしまう傾向があるので、こういう我に返る場所を事前に作っておくことが僕にとっては重要です。
スタート~10km:56分37秒
スタートから5km位まではほぼフラット。呼吸が荒れないペースでリズムよく淡々と。
5km過ぎから徐々に登り始めるので、ペースは落ちましたがあくまで呼吸の感じでペース管理し、数字では判断しないようにして進んでいきました。
10~20km:1時間11分
コース最高点付近は、斜度もかなりキツくなるので呼吸の状況によって歩きを混ぜながら。
下り坂は転倒に気を付けながら可能な限り登りのロス分を取り返す意識で走りました。
20~30km:1時間3分
このパートは基本的に下り坂なので攻めていきました。
23kmの林道ゲートのエイドステーションではバナナ2つとオレンジ3切れ食べました。
補給は、この後のすべてのエイドでフルーツやプチトマトなどがあった場合には積極的に食べて走りました(小麦アレルギーがあるので他のものは食べれないので、フルーツがない時には手持ちのおやつやジェルを摂りました)。
補給は最低でも1時間に1回は何かを食べるようにして進んでいくようにしております。
30~40km:1時間4分
稲子湯の手前で、懸案事項だったハムストリング~ケツにかけての張りが出てきましたが、想定内のことなので特に動揺なく走行。このパートも下り坂が多いので攻めました。
40~50km:1時間4分
42kmの八峰の湯エイドでザックの中のおやつを食べたり、後半戦で使う補給食をハーフパンツのポケットに入れたり、ザックの前面ポケットに入れたり、一度持ち物を整理整頓。
シューズの中に入った石も取り除いて、再スタート。
暑さを感じてはいましたが、まだ下り坂が多いということもあってこの辺は快調でした。
50km~ゴール
50~60km:1時間19分
ついに北相木の折り返し。暑さをとても感じましたが、私設エイドで氷入りの飲み物を頂き、その氷を握りしめて走ったり、エイドの被り水で頭、腕、脚を濡らして気化熱で体を冷やしながら走行。
暑いとテンパって水を多く飲む癖があるので、あまり飲みすぎないようにしました。それでも飲みたいと思う時は口を漱いで対応し、水分摂りすぎによるマーライオン化は徹底的に避けるようにしました(2017年野辺山の教訓が生きました)。
59kmの北相木村役場エイドで食べたパインスティックは、この日一番の美味しさでした。
60~70km:1時間28分
北相木の折り返し復路から南相木村役場までの道のりは、一番暑く、ツラい時間でした。
一時は脳内がネガティブな考えに支配され、危険な状態にまで追い込まれましたが、岩本能史さんの本「完全攻略ウルトラマラソン練習帳」にも記載のあった通り、自分を客観視することに努めました。
キツくなってきた時は、
- 自らを客観視すること
- 暑い場合、寒い場合等の気候への最適な対応を都度取る(今回の場合は体を濡らして気化熱で体を冷やす)
- 補給(糖質を入れて、大会を止めさせようとする脳を黙らせる)
これらをやって、自分の主観的な「ツラい、やべーかも」という闇の時間が過ぎるのを待ちながら進んでいき、それでもダメなら時間を決めてエイドステーション等で座って休むとかして対応しました。
数年前の僕だと、ここで止めるか、長時間ダラダラと座り込んでしまって大量の時間をロスしていた気がしますが、どうにか踏ん張れたことが、この日自分の走りに関することで一番うれしい出来事でした。
70~80km:1時間49分
馬越峠の登りは、持っているおやつ等を食べながら歩いたり、走ったり。ここでしっかり食べて、79km~87kmの下りで走れる区間に備えて腹ごしらえをしました。
この登りの区間は割り切って歩く区間と決めており、この区間でしっかり補給をして最後の20kmに備えていくイメージで乗り切っていくようにしております。ここで大量の時間を使いますが、もうそれは仕方ないと割り切っていきました。
80~90km:1時間9分
下り基調を利用して攻めるパートではあるのですが、もう80kmを走ってきた脚では攻めているつもりでしたがそんなにスピードは出ず・・・、でも下り坂からほぼフラットになる85kmから川上村原公民館までの間の千曲川沿いの道を歩かずに行けたので、そこはうれしかったです。
90km~ゴール:1時間28分/ゴールタイム:12時間37分
野辺山の真のラスボスは今年も手強かった。
走り続けることは出来なかったですが、歩いたり、走ったりしながら大幅なペースダウンは避けるようにしてゴールを目指しました。
まだまだ先にはなりそうですが、ここを走り切ってゴール出来るようになりたいなと思います。
12時間30分位のフィニッシュタイムで作ったペース表より数分速いタイムで、87kmの川上村原公民館に着いたのですが、この区間で7分位ペース表のタイムをオーバーしてしまいました(タイムは気にしないようにしていたものの、「もしかすると12時間30分切れるのか?」と90kmあたりで欲が少し出ました)。
後半のペースの落ち込みが毎度毎度の課題ではありますが、この日は途中途中で今までの自分ならばポッキリ折れていたであろう所で踏ん張れてもいたので、本当によく帰ってこれたなと思いました。
タイム目指すことも大会を楽しむ要素のひとつではあると思いますが、やっぱり一番大切にしたいことは、ゴールを目指す中で見る景色や大会の雰囲気、走る中で出会う応援の方をはじめとした様々な方との一瞬の関わり。
これがすごく好きでウルトラマラソンを走っていますし、これがなかったら100kmも走れるのだろうかと思う部分もあります。
そんな感じで、楽しくもキツい、僕の2023年野辺山ウルトラマラソンは無事ゴールという形で終えることが出来ました。
まとめ
本当に楽しい一日でした。
一日中いい景色を眺めながら、応援してもらえながら走れる、キツい時もありますが最高の一日でした。
2015年からウルトラマラソンに挑戦を始めて、少しづつ少しづつ走れる時間が増えてきていたり、キツい時間帯のいなし方が上達してきているのを感じます。
これからも失敗したり、手痛いDNFをしてしまったりすることもあるとは思いますが、「楽しく走る」ことを第一に走っていきたいなと思います。
改めて、大会に関わったすべての皆様、ありがとうございました。
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