50km地点でマジで一人でゴールまで行くことになり・・・・と、思ったけど今日はもうすでに50km一人で来ているし、別に思ったよりそれは問題ではなかった。
そりゃそうか。
一人だろうが、二人だろうが走るのは僕なのだから。
ただ、本当に僕が恐れているのは奥さん不在ではない、並走・・・というか頭の中にいる僕なのです。
全てをひっくり返してくる強敵
頭の中にいるもう一人の僕。
僕はそいつを「ネガティブこばすけ」と呼んでいる。
こいつ、妙に饒舌でつらくなってきた時に耳元で「よくここまでやったよ。お前にしては上出来だ。もうキツくなってきたしここで終わりでいいんじゃない?」とか、まぁとにかく大会中に僕の「完走する」という唯一の目標をひっくり返してくる奴で僕はウルトラマラソンのどんな難コースより、コンディションより苦しめられています。
経験則的にこいつに負けたらすごく後で後悔に苛まれる。
けど、こんなに疲れて、脚が痛くて、暑くなってきて、あいつがそれを見逃すはずがない。
その時に、一人だと一瞬であいつになびいてしまいそうな気がする。
そういう意味で「二人で走る」のは大きいんだよなと思っていました。
あいつが来ても、相方と話したりついていくことでなんとかやり過ごせる気がする。
そうじゃないと無理なんじゃないかと思っていました。
けど、どこかで自立しないと本当の意味で強くなることはないし、今の最大目標100kmウルトラマラソン12時間台フィニッシュとチャレンジ富士五湖118km完走は出来ないということはわかっています。
今日はそのチャンスです。
自分で、自分を、コントロールするんだ。
誰と競る訳でもない、コースも別に敵ではない。
敵はあくまで、ネガティブになって負けてしまう自分だ。
次のエイドまで行って、計画表のペースと補給計画をトレースして行く。
それをひたすら繰り返す。野辺山高原の絶景とありがたい応援を添えて。
それだけだよ。・・・・と、自分に言い聞かせ50km地点のエイドを出発した。
地獄の北相木村役場折り返しゾーン
暑くなってきて、元々苦手意識のあるこの折り返しゾーン。
なんだろう、走った後にYoutubeとかで投稿されている動画見るとここの斜度はそんなにキツくは見えない。
なんだけど、なんだけど、毎回ここに来るとすごい坂に見える。
ここは走らないと、折り返しが終わった後から馬越峠のてっぺんまではもっと登り基調。
走れ、俺。
朝はガスってて霧雨で曇ってたのに、晴れてきて今度は暑さを感じてきた。
わがままだな俺って走りながら思う。
霧雨で天気が悪ければ「寒い、景色見えねえ」と言い、晴れれば「暑い」と言う。
ないものねだりこそ、生きる上で自分の作り出す最大の苦しみなのかもしれん・・・・とか思いつつ進んで行くとついに59km地点の北相木村役場エイドに到着。
水を被り、楽しみにしていたパインスティックを頬張り、コーラ飲んで、BCAAサプリメント飲んでササっとエイドを出る。
なんとか進んで行く中で、スライドゾーンの中にいる奥さんを発見!
「おーい」と手を振ると、なんとも苦しそうな表情で手を振り返す奥さん。
あいつもあんな顔するのか・・・・なんかいつかのチャレ富士ではエイドで写真撮影用の顔出しパネルみたいのをボランティアの人から借りて写真撮影したり(僕はその横で遠い目)、どんなにキツくても基本アハハ、ウフフでウルトラマラソン走り切るやつだと思っていなかったのに・・・・。
驚きだったのが、フィニッシュ後に奥さんからは「あんなに速いペースで進んでいるのに余裕そうで、11時間切るなと思った」と言われました。
まぁ、本当僕がバケモノだと思っている奥さんも、苦しさと戦いながら進んでいるのだと今更ながら気づかされたのでありました。
そんなで折り返しのエリアを後にして、滝見の湯に向かう緩やかな登り坂ゾーン。
ここからは、ダラダラと登りが続きます。
ここまでは、まさかの11時間切りも可能な所で走っていました。
ふと、そんなタイムを見るとなんか自分がやっていることとは思えんと思いました。
2022年野辺山ウルトラマラソン 第三話「いろんな思い出の詰まった馬越峠」に続く。
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