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2023年チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン 第4話「試練の時」

チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン
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少しづつ少しづつ疲労の影が見えて来たけど、どうにか精進湖を突破。

ここからは、5LAKESの部のみ行くコースである本栖湖ゾーン。

今まで3LAKES、4LAKESの部の方もいたおかげで賑やかだった道のりは一気にポツンポツンとランナーが見えるだけのゾーンとなります。

2019年の秋大会は本栖湖で全ての力を使い果たし90kmの第五関門、旧精進小学校でタイムアウトとなった。そんないわくつきの本栖湖。

今回の本栖湖はどんな感じになるのか。

真価の問われる、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン後半戦が始まる。

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蓄積してきたダメージ

本栖湖へ向かう道。一気にランナーの数が少なくなります。

本栖湖へ向かう道は、ゆるやかな下り基調。下り基調ということは行くしかない!ということでポンポンと走って行きます。

70kmを超え、少しづつではあるけど疲労が明らかに積み重なってきている。

本栖湖手前の地下道で、下りの階段で、大腿四頭筋がガタガタであることが発覚。

「はうっ!いてててて・・・・!」

あとちょっとで「はうあ!」とか言いそうになりましたが、画太郎先生好きが近くにいたランナーさんにバレるので自制致しましたw

まだふざけたことを考える余裕はある。とにかく本栖湖県営駐車場にいこう。そこで第四関門突破だ。

いい時刻にこれました!

本栖湖県営駐車場に到着。ここまでは僕の計画したペース表より8分も速い。だんだんペースは落ちてきているけど、全然いい。

イーブンペースで行けるなんて、思ってなどいない。

あくまでも、ゴールにたどり着く。それが最大の目標なのだ。

エイドステーションでバナナを2個食べて、メダリストのBCAAサプリメントをザーッと流し込んで、いざ本栖湖周回へ。

2019年秋大会では、ここで長時間座り込んでしまって時間を大幅にロスしてしまった。同じミスを繰り返すわけにはいかない。補給を済ませて、すぐに本栖湖へ向かわなくては。

本栖湖周回、試練の時

・・・・その試練は、突然やってきた。

あれ、あれ?

急に全身からアラートが発せられている感じ。

か・・・体が、動かねえ。

「ハムストリングス、臀部、足底、大腿四頭筋、損傷!ダメージ甚大!!」

「気温上昇により、ダメージの蓄積!早急な冷却を!!」

「ダメージ甚大、ダメージ甚大、早急な運動の停止を要求する!!」

脳が一気に騒ぎ始めた。

やべえやべえ。どうしよう。

歩いているのもしんどいぞ。

走ろうとしても、全力で体と脳が走るのを拒否している。

突っ込んだツケなのか。これだけ走り込んでも75kmとか過ぎるとこんなにダメージが来るのか。

前後に誰もいないはずの本栖湖で、聞きなれた男の声が聞こえた。

「よお。よくがんばってるじゃん」

その声の主は、ネガティブこばすけだった。

自分の心の声との対話

「本当よくここまでこのペースで来たな」

「今回はトレーニングの段階からよくやったよ」

「でも、ほら、そんなにしんどいんだったら、別に無理しなくてもいいんじゃね?」

「ほら、趣味なんだし」

「明日だって仕事あんだろ?」

「いくら時間があるって言ったって、この先そんな這いずり回るようなペースじゃ間に合わないよ」

「時間の貯金をしようが、ダメなものはダメよ」

「兎にも角にも、お前は良くやった。」

立て続けに、ネガティブこばすけが色々言ってくる。

これは、自分の心の声だ。

あまりにもキツくて、やめる理由を探し始めている。

認めるよ。これは俺の心の声だ。俺は弱い。ずっと勇猛果敢ではいられない。

これも俺の心の声だけど、たったひとつ、これも自分の声だという声が心の奥から聞こえる。

「最後まで、ゴールするか、タイムアウトまで、やろう!」

そうだそうだ。

辞める理由なんて、それこそ1万個位はある。

その1万個に、たったひとつの思いで打ち勝てるか。

そうだそうだ。俺は心からやりきったと思いたいんだ。

前を向いた瞬間、奇跡が起こった。

「加油」

抜きざまに中国人のランナーさんが声をかけてくれた。

中国語でがんばれと言われたのは生まれて初めてだ。

とっさに「ありがとう!!」とその背中に向かって叫んだら、その方は手をあげて走っていった。

僕はこの方に助けられた。

体ははちゃめちゃに痛い。虚脱感もひどい。

でもなんでだろう。

僕は、本栖湖を眺めながら、笑っていた。

本栖湖。とてもきれいでした。この景色に励まされました。

まさかの共闘

78.6km地点の本栖湖中ノ倉トイレ駐車場エイドで、一度しっかりと水をかけて頭を冷やし、ザックに入っているお菓子やジェルなどをバクバク食べる。

うるさい脳みそめ。ブドウ糖で大人しくなっとけ。

脳が騒ぎだしたら、とにかく食う。これで案外脳は静かになることをこれまでの戦いで僕は知っている。

ベンチに座って、飲み物を飲みながらペース表を眺めて、残り時間と距離を整理する。

油断は一切出来ない。

なんせ、俺だから。

さっきもネガティブこばすけの言葉に耳を貸してしまっていた。

しかし、あいつはネガティブで嫌なヤツだけど、戦略家でもあり、現実主義者だ。

「もう残りの距離は40km」

「すべて歩くとか、長時間止まるとか、そういうことがなければ、イケるんじゃね?」

「ほら、お前下り得意なんだろ?フラットな所と下りはしっかり走ってさ」

「ラストの船津で時間ヤバかったら、足柄峠の坂よりはマシなんだから気合で走ればいいじゃん」

「ちょっとでも、気持ちに隙を見せたら、俺はいつでもやめる方をおすすめするよ」

「まぁ、せいぜい、あがいてみな」

ネガティブこばすけが、まさかの完走する方法を言い始めた。

最後に彼らしい捨て台詞を吐きながら、背中を向けてこう言った。

「ほら、またリベンジだとか言って無茶をやって、いつかの時みたく体壊して貧血とかなられたら困るから・・・今日、決めてこい。」

ありがとうネガティブこばすけ。

彼は、いや、僕は、元は同じ人間なのだ。

俺は、挑戦することが好きだけど、失敗したり、傷つくことも恐れている。

過去には失敗して、傷ついて、立ち上がることに長い時間がかかったこともあった。

しかも僕は、やると決めたら周りが何と言おうが挑戦を続ける頑固な所がある。

それでも、失敗したり、傷つくことは嫌だし、怖い。

そんな矛盾する自分の気持ちを具現化したヤツこそがネガティブこばすけなのだろう。

ありがとう。その戦略、採用だ。

晴れ晴れした気分とガタガタの脚で、僕は第五関門の旧精進小学校を目指して走り出した。

2023年チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン 第5話「2019年秋大会の自分を超える」に続く。

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