この本を読んだのは何年前になるのか。
僕はこの本を読んで、おそるおそるシューズを脱いで裸足で走ったり、ワラーチで走ったりして、走り始めた2011年頃は10kmの大会も脚が痛くて歩いていたはずが、いつの日かフルマラソンも歩かず走り切れるようになり、あれほど悩まされていた脚の痛みから解放されました。
脚の痛みから解放されただけではなく、ウルトラマラソンにまで挑戦するようになりました。
そういう意味で、「僕のラン人生を変えた一冊」と言っても過言ではない一冊で、今でもウルトラマラソンの大会前には必ず読む、大好きな本です。
僕のラン人生を変えた一冊
冒頭で書いた通り、僕のラン人生を変えた一冊です。
「どうして、私の脚は痛むのか?」
著者のクリストファー・マクドゥーガルのこんな問いから始まる、この物語。
僕も走り始めて、ずっと疑問に思っていることでした。
初フルマラソン(2012年ちばアクララインマラソン)で、完走メダルをかけた60代と思われる男性の方が普通に歩いて帰っている。
対して僕は35km位でタイムオーバーでリタイアとなり、バスで会場に帰ってきたのにバスから降りることすらまともに出来ない。
「なんで?あの人フル走った後でも普通に歩いている!?」
「僕は完走してないから走った距離はあの人より短いのに、何故まともに歩けない?」
別にタイムを狙って走っている訳でもない。ただゴール出来ればいい。そんな気持ちで走っているのにゴールにすらたどり着けない。
走ると、脚が、痛い。
なぜ?
書き出しから、僕と同じ疑問を抱える著者の書く物語にのめり込んでいきました。
この本を読んだ後の僕の変化
まず、ランニングシューズを履くのを止めて物語の中で出てくる「ワラーチ」、もしくは裸足で走るようにしてみました。
物語の中でカバーヨ・ブランコが著者に走るレッスンをするくだりがあって、
「楽に、軽く、スムーズに」
という言葉が出てきます。
今でも「楽に、軽く、スムーズに」は走っている時によく浮かんでくるフレーズです。
一時はほぼワラーチやベアフット系のシューズのみ履いて走っておりましたが、現在はランニングシューズも履いて走るようになり、ワラーチや裸足で走るのは週に1回位になっております。
この本を読んで、ワラーチなど履いて「楽に、軽く、スムーズに」を実践すること数年。
気が付いたら、あれだけ悩まされていた脚の痛みから解放され楽しんで走ることが出来るようになりました。
初めて参加したフルマラソンはリタイアでしたが、その後無事完走出来ました。
今ではフルマラソンも、ウルトラマラソンにも挑戦する日々です。
走る人も、走らない人も面白いと思います
この本の物語は、前述の通り「どうして、私の脚は痛むのか?」という問いを追求していくことを軸に進んでいきます。
その問いを突き詰めていく中で、
- シューズ業界についての皮肉
- ランニングシューズとランナーの故障について
- メキシコの「走る民族・タラウマラ族」の走る秘訣について
- タラウマラ族の生活に魅せられたカバーヨ・ブランコの物語
- 解剖学・生物学から見て、人間は「走る為に生まれた」という実証
- カバーヨ・ブランコが企画するウルトラマラソンの大会に集まる個性的なウルトラランナー達の物語
これらが、物語の進行と共に書かれていき、ラストはカバーヨ・ブランコが企画するウルトラマラソンの大会が描かれます。
最強ウルトラランナーのスコット・ジュレクとタラウマラ族最強のランナーのアルヌルフォ・キマーレの一騎打ち。
その大会に参加する個性的なウルトラランナー達。
そして、走りのヒントを得ていき、「どうして、私の脚は痛むのか?」と悩んでいたこの物語の語り手でもあるクリストファー・マクドゥーガルのウルトラマラソン完走。
このラストのウルトラマラソンの大会でダントツの最下位でフィニッシュしたクリストファー・マクドゥーガルにスコット・ジュレクが掛けた言葉は、ウルトラマラソンに挑戦する僕に勇気をくれる一番の言葉です。
「あなたにはびっくりしたよ」スコットが言った。
「ああ」私は言った。「びっくりするくらい遅かった」
完走するのに私は12時間以上かかっていた。
つまり、スコットとアルヌルフォはもう一度全コースを走っても、私に勝てたことになる。
「まさにそれなんだ」とスコットが力をこめた。
「僕には経験がある。かなりの経験がある。速く走るよりも、もっと勇気が必要なんだ」
「BORN TO RUN」より引用
この本に勇気づけられた僕は、2015年に野辺山ウルトラマラソンに挑戦し100kmを制限時間3分前の13時間57分で完走します。
このスコットの言葉を思い出すと、いつもこのギリギリでゴールした初めてのウルトラマラソンを思い出します。
走る人も、走らない人も、きっとこの本を読んだ後は「ちょっと外に行って、走ってみようかな」と思ってしまうような一冊なのではないかと思います。
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