5周までは、至って順調に走ってきていました。
速すぎず、遅すぎずの適度なペースで走れてきている。懸案事項だった足裏の張りも大丈夫そうだ。
「これは4時間位で40km通過出来たりするのか・・・・??」
そんなナメた幻想を抱き始めてた僕に、ついに彩湖が牙をむく。
6周目に入り、もう真新しい景色はない。
時間は11:30を回った位。
まだ5時間半もあるのかぁ・・・・。
あちーなぁ。
ついに、周回コース、時間走、暑さという三つの攻撃が僕を蝕み始めてきた。
苦しくも、振り返ると一番笑ってしまう、僕的ザ・ウルトラマラソンな時間がやってきた。
ベイスターズファンとして背負う業
あー・・・暑い。暑い。景色変わらん。飽きてきたなぁ・・・。
飽きとか、そんなことよりも、暑い。暑いことが問題だ。
今日は、1周4.9kmのコース上にある2か所のエイドステーションで必ず水被りをして暑さ対策をしてきた。
ポケットに入れてあるOS-1ゼリーも飲みつくしてしまった。
エイドでは果物や飲み物を頂いてはいるが、とにかく暑い。のどが渇くし、体に熱がこもっている。
走ることに集中出来なくなってきた。
「去年みたく、楽しかったけど走りの面で悔しい気持ちで終わるのは嫌だなあ」
「でも、すげえ暑い。これは走れなくても仕方がない気がする」
完全に気持ちが負けてきた所で、ついに歩き始めてしまいました。
・・・・・この日の前日のこと。
僕のご贔屓球団のベイスターズは、挟殺プレーのミスというとんでもないベイスボールをサイヤング賞投手のバウアー投手にまで披露してしまっていた。
ベイスボールを食らったバウアー投手は「Why japanese baseball??」とばかりに両手をあげて唖然とし、ベンチに引き上げる時には放送禁止用語を連呼していたそうな。
後のインタビューで「優勝する野球が出来ていなかった。あと自分の不甲斐なさに腹が立った」というようなことを言っていたとか。
ベイスターズは、変わりつつある。これは間違いなく言い切れる。
でも、どうしても抜けきらないポンコツ具合がある。
それを具現化したものが先述の「ベイスボール」だと僕は思っている。
僕は、この強くなろうとしている最中、誰もが必死にやっている中でもベイスボールが出てしまう、そんなベイスターズが好きだ。
サイヤング賞投手にも、抜かりなくベイスボールを披露するようなベイスターズが好きだ。
すごく必死なのも伝わってくるし、勝ってても負けてても目が離せない。
そんな愛しきポンコツなベイスターズ。今年は優勝を狙える所にいる。
そんな屈折したベイスターズ愛を持つ僕もまた、ポンコツランナーだ。
今年は、自分で言うのもなんだけど、「ウルトラ新時代」に入ったと思っている。
2015年からウルトラマラソンに挑戦を始めて、ずっと、ずっと制限時間との戦いだった。
去年、初めて12時間台で野辺山をフィニッシュ出来、「ウルトラ新時代」の胎動を感じた。
そして今年。
ついに、3連敗していたチャレンジ富士五湖5LAKESの部でゴールすることが出来た。
以前とは明らかに違う感じで、制限時間に余裕を持って走れるようになってきている。手ごたえはある。
来年も、同じように、もしくはそれ以上に走れるようになるのか。もっと余裕を持って楽しんで走れる強さを身につけられるのか。
そうなるべく、トレーニングを継続していくつもりだ。
だが、今はどうだ。
「暑くて仕方ない」と歩き倒している。
僕の心の中の第二の自分も「何がウルトラ新時代だ」と放送禁止用語を連呼してキレている。
僕のポンコツも「ベイスボール」のようなもので、いわばベイスターズファンの僕が背負う業のようなものなのか。
業でもなんでもいい。流れを変える手を打って行かなくては!
そんな時、今朝ご挨拶したtairenさんが「こばすけさん!」と声をかけて下さり、我に返る。
「すみません。ちょっと付かせて頂いてもいいですか??」
tairenさんは快諾して下さり、1周一緒に走って頂きどうにか復活。本当にありがとうございました。
その後も歩いたり走ったりしながら、今後の作戦を練る。
暑い時間帯は7~8分/kmで刻む。歩いてもヨシ。気温が落ちてくる15時頃から勝負をかける。
それだ。エイドステーションで頂いた氷で頭を冷やしながら歩く。
作戦を考える余裕が出てくると、バカなことを考える余裕も出てくる。
彩湖では防災無線が定期的に流れているようで、「水辺で子供が一人で遊んでいたら、危ないよと声をかけてあげましょう」と何度か耳にしました。
しかしだ。
こんな炎天下の中8時間も走っている大人から「水辺で遊ぶと危ないよ」などと言われても、「いや、危ないのあなただから!」ときっと子供でも思うに違いない。僕が言われたら間違いなくそう思う。
この日の彩湖で流すべきアナウンスは、
「炎天下の中で8時間も走ろうとする人がいたら、危ないよと声をかけてあげましょう」
これだ。
これを流してくれたら、きっと8耐を走っている人たちは爆笑するに違いない。
でも、危ないのかもしれないけど、こういうのが楽しいんだよなぁ。
反撃へのストーリー
そんな感じで、しんどくもバカなことを考えながら周回を重ね、40km手前で奥さんについに周回遅れを食らう。
しかもエイドステーションに入る前に奥さんから、驚愕の提案が告げられる。
「一度、車に戻ってOS-1を飲もう!」
は?
車に戻って休むとか、それ僕の専売特許だから!
僕はもうしんどくてしんどくてヤバかったので、快諾し、エイドでかき氷をもらって車へ戻る。
OS-1をグビグビ飲みながら、奥さんの話を聞いているとサンダルで走っている影響で血豆が出来て痛いとかなんとか。
見たらすんごい痛そうだったけど、このお方は12時間耐久でもルナサンダルで98kmとか走る猛者。
僕とは、違う。今は泣き言言っているけど、たぶんタイムアップまで走り続けるに違いない。
エアコンの効いた車内で冷えたOS-1を飲んで、ジェルを摂って、かき氷を食べたら元気が出てきた。
復活をして、奥さんと1周一緒に走り、9周目突破。
かなり歩きと休憩で時間を費やしてしまったけど、元気にはなった。
残り時間は2時間18分。
後何周出来るのか、いや、後何周したいのか、自らに問う。
「60kmだ。60kmを超えたい。」
「つまりは・・・・あと4周だ。」
絶対にイケる!!ここからは涼しくなる。風も吹いてきた。
走力はともかくとして、帳尻合わせだけは定評のあるこばすけ。ここは絶対に合わせる。
ここでやらなきゃ、休憩した意味がない。
暑さに完全にノックアウトされていた中盤戦を終えて、いよいよ終盤戦へ。
60kmを目指して、最後の力を振り絞る。
タイムアップに向けて、どんどん楽しくなる謎の8耐現象に今回も魅了されまくりながら走るラスト2時間。本当に楽しかった。
コメント
こばすけさん奥さんも走られてこばすけさんより速いんですね。何処かでお会いできるのを楽しみにしております。私は今月の終わり75歳になりますがまだ楽しく走っています。今月中には累計走行距離11万キロ、走り始めて39年レースも550以上参加しています。44~48歳がピークでハーフ1時間14分26秒、フルは2時間42分26秒。ウルトラ100キロは61歳から27回6ヶ所で走って9時間18分、19分、22分がベスト3です。来年は岩手銀河100キロ10回目の完走を目指して走る予定です。これからもよろしくお願いいたします。
>k.takaoさん
そうなんです。妻も走っていて、速いんですよ~。距離が伸びても安定して走れるようで、見ていてすごいなぁと思っております。
累計走行距離11万km、、、、すごい距離ですね。
来年のいわて銀河、楽しんできてくださいね!影ながら応援しております。
あのベイスボールに唖然としたバウアーの試合、家で中継見てました!
満塁のピンチをピッチャーゴロで打ち取った時の野手に任せず、自らアウトにしにいって吠えたところとか熱すぎです。サイヤング賞投手が日本であれだけ本気でやってくれる姿を見せてくれるのはほんと有難いですね。昨日もナイスピッチングでした。
こばすけさんと周回できた周、6周目でしたかね。私が最後にまともに走れた周回で、私もほんと嬉しかったです。7周目もご一緒できれば良かったのですけどね。続きはまた来年楽しみにしています!
>tairenさん
あの試合、ご覧になってたんですね!
僕は仕事の後に動画で見たんですが、「これは過去最大級のベイスボール」と思いました(;^_^A
真面目な話、バウアーのように勝負に熱くなって、それを前面に押し出すタイプの選手がベイスターズには少ない気がするので、熱いバウアーの存在がベイスターズにどんな化学反応を起こすのか楽しみです。
昨日も圧巻でしたね。あの驚異のスタミナにはビビりました!!感動です。。
ご一緒して頂いたの、確か6周目でしたよね。すごく楽しかったです。
そうですね、是非来年もよろしくお願い致します!!こないだのように、またノビて歩いていたら叱咤激励お願いしますw