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2024年館山若潮マラソン 第2話「悲しみの南房パラダイス」

館山若潮マラソン
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色々なことを乗り越えて、一抹の不安・・・・どころではない不安はありつつも「まぁ、楽しんだもん勝ちでしょ!!」という感じで、スタートした僕。

第1話の「プランA」でとりあえずは入っていき、去年よりもかなり賑やかになった応援に背中を押してもらいつつ、館山の市街地を走り抜けていきます・・・!!

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突貫工事の答え

館山若潮マラソンのコースは、こんな感じのアップダウン満載の走りごたえ満点のコース。

コースは前半のアップダウンで脚を削り、30kmあたりの激坂で阿鼻叫喚。

そこからゴールまでも地味に続くアップダウンで抜かりなくランナーを楽しませる仕様。

走り始める前から、今日は例年の館山以上のタフな戦いになるぞ・・・とは思っていました。

「ふふふ・・・こばすけよ、そんな突貫工事で作り上げた脚でこの館山若潮マラソンを走り切れるかな」

そんな館山からの声まで聞こえてきそうな、すばらしい仕様のコース。

そんな妄想をしながら、3時間30切りを狙う奥さんの後ろについてみる。

時計をチラ見すると、4:50~4:55/km位で走っているようだ。

少し呼吸が弾む。感覚的に「楽だ」という感じがあまりない。

経験則的に、フルマラソンで序盤にこういう感覚になるようなペースで行くのは「突っ込んでいる」状態となって、後半ろくなことにならないような気がする。

・・・・どうするか・・・・。

悩むなぁ・・・・。

体の反応は「そんなに楽ではない」なんだけど、頭のほうでは「本来ならば楽に感じるはず」というふうに思っている。

このままいくか、ペースを落とすか。

そんなことを思っていたら、なんか脇腹痛くなってきたww

ダメだこりゃ。ペース落とそう。てゆーか今日はペースがいくつとかとらわれないで走った方がいいな。時計はあまり見ないで呼吸の感じで感覚でペースを刻んでいこう。

そう判断した途端に、奥さんの背中がスーッと離れていった。

走っているのは、今の僕。

海を右手に眺めながら、淡々と走って行く。

ペースを感覚任せにして走り出してから、おそらくペースは落ちたけど楽になった。

しかも離れた奥さんの背中もなんとなく見える所にいて、そこからは離れていないのでいいペースで刻めている感じ。

背後に大集団の気配をなんとなく感じるので、おそらく3時間30分切りのペースメーカーはすぐ後ろにいるのだろう。

ああ・・・去年は40km位で抜かれて、抜いてだったのになぁ・・・・。

わかっちゃいるけど、去年の僕の状態と、今の状態は全く違う。てゆーか、去年の夏までは今思えば絶好調だったのだろう。

夏に熱中症になり、そこからは再立ち上げ。再立ち上げ後も何かしら起こりトレーニング中断を繰り返してここまで来ている。

そんなことは誰でも起こりうることだし、その中で折り合いをつけていくしかない。

それはわかっているつもり。

そう。わかっているつもりなんだけど、ここで厄介なのは「かつては、ああだったのに」という感情。

「かつてはなんだかんだ苦しんでも3時間30分切れていたのに」

「かつてはフルマラソン前半で4:50/kmのペースで呼吸が弾むなんてことはなかったのに」

・・・この感情は厄介だ。

こういう思考パターンだと、きっと年を重ねていくと他の事でも「若い時は、こうだったのに」とか思うに違いない。

そんな時間の扉に封鎖され、対峙することも出来ない過去の自分と比較して、苦しんだり、今を損なうのは良くない。

そんな苦しい生き方はいやだ。

あくまで、今日の自分で勝負なんだ。かつて、100km完走したとか、3時間30分切れたとか、そんなことはもう関係ない。

今日の自分はどうなのか。そして、今日の自分が出来るベストをして、楽しむだけなのだ・・・。

そんなことを思いつつ、10kmを通過。

10km通過タイム:48:09(平均ペース:4:49/km)

なんだかんだで、時計を久しぶりにチェックすると良いペースでここまで来ている。

11km地点のエイドステーションでバナナを食べて、給水して、フラワーラインに向かっていきます。

暴走フラワーラインの罠

応援してもらえるおかげだったり、大会の楽しい雰囲気だったりで、なんだかんだでいいペースで来ている。

給水所で先行していた奥さんにも追いついた。

このあたりでリズムが良くなって、気分も良くなってしまい、奥さんの前に出てしまう暴挙に(笑)

なんかイケるぜ。応援パワー。館山パワー。大会パワー。ふふふ・・・なんてったって俺は本番に強い男。

そんなことは思ってなかったけど、後からこの辺を振り返ると「お前、そんなこと思ってイキってただろう??」と自分を問い詰めたくなる謎のテンションとペースアップ。

「だから・・・ペース抑えなさいよ・・・・」

「奥さんの前に出るんじゃないよ・・・・」

イキった僕の耳には、そんな冷静な言葉は届いていないようだ。

暴走フラワーライン、否、房総フラワーラインの罠に今年も掛かってしまいましたが、まぁ楽しければいいんです。

「プランB」発動

唐突に話は変わりますが、親知らずを抜いたことがあるだろうか。

親知らずを抜いた後、痛み止めを飲み、痛み止めが効いている間は、痛みを感じないが、薬の効き目が切れると痛みが顕在化してくる、あの感じ。

・・・そう。ここまで3時間30分完走圏内で走れていたのは、大会の楽しい雰囲気、いつもは一人で走っているのに、大会だと大勢で走る高揚感、そして館山の暖かい応援。

それは、明らかに僕の背中を押してくれていましたが、それと同時にまさに親知らずを抜いた後に飲む痛み止めの如く、僕のトレーニング不足等の問題をすべて覆って、まるでなかったかのようにしていたのです。

しかし、痛み止めはいつか切れる。Yes。半減期。

そんな感じで、痛み止めの如く僕に効いていた、大会の高揚感も効き目が切れてきて、急にガクンとペースが落ちて、腰回り、ケツ、ハムに重さがドーンと来ました。

高揚感や楽しさに隠されていた、真の自分のコンディションがついに姿を現した。

あれ?あれ?あれ?

そ・・・そんなはずはない。あ、いや、そんなもんか。

なんとなく良くはないと思っていたけど、なんだかんだどうにかなるかな~などと謎のポジティブ思考でいましたが、やはりそうはいかないか~!!

海を眺めながら、どうにか踏ん張り21km地点「南房パラダイス」が見えてきた。

「ぐぬぬ・・・・、とりあえず補給だ。」

バナナを食べて、BCAAサプリメントを祈るような気持ちで飲む。

「頼む。これは気のせいだ。もう少し、せめて30kmまで持ってくれ」

鉛のように重くなってきた体。

体の重さはそのまま心にのしかかる。

「オイオイ・・・・あと21kmもあるぜ」

そう思った時には、3時間30分のペースメーカー集団が僕を抜き去っていき、奥さんの姿もあっという間に見えなくなっていった・・・・。

嗚呼。悲しみの南房パラダイス。

3時間30分切りは、どうやら厳しいようだ。

「ここは・・・・仕方ない!プランB、発動!!」

南房パラダイス、否、ここは南房ディストピア(意味がわからない件)。

ここからが、本当にキツかったけど、やっぱり走るの楽しいなと思った後半戦。

  • 10km→20km区間タイム:48:44(平均ペース:4:52/km)
  • グロスタイム:1:36:53

※なんだかんだ、20kmまではいいペースで走れていました。

2024年館山若潮マラソン 第3話「僕を繋ぎとめている細い糸」に続く。

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