先日TOKYO MXでガメラをやっていて、懐かしいなと思って観ていました。
小さい頃、子供心ながらに「こ・・・これは若干荒唐無稽な感じ・・・」と思ったストーリーが多い印象の昭和ガメラ。なんだか懐かしいなぁと思って観ていた中で異彩を放つ一作。
それが今回の記事の「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」。
小さい頃に一度見たのですが、その時の印象は「人間ドラマが生々しい」「人間同士の争いが怖い」という印象。小さな僕に、観て楽しかったという印象よりも「怖かった」という印象を強く与えた作品。
時を超えて、おっさんになってもう一度観る機会を得て、面白かった。
また、小さい頃の僕が怖いと思った悪役の小野寺。
大人になって改めて観てみると、小野寺が怖いとも言えるし、人をあそこまでさせる欲というものも怖いと言えるなぁという感想。
強欲に取りつかれ、特大のダイヤを手にバルゴンに食われるという壮絶な最期を迎える小野寺。
ちょっと僕の中では、哀れにも見えた小野寺。
小野寺は僕にとってこの映画の主役と言っても過言ではない。
小さい頃の僕に、時を超えておっさんになった僕に「欲」ということを考える機会を与えてくれた。
小野寺。欲に取りつかれた人間。
小野寺小野寺書いてきたけど、ここで小野寺の所業について書いてみたいと思う。
- 1~2億円相当のオパール(結局これはバルゴンの卵だった)を見つけた際に、1人の仲間の足に毒サソリが登っているのに気付いたのに、気付かないふりをして仲間の1人を見殺しにする
- 3人でオパールを取りに行ったうちの1人を毒サソリで見殺しにして、さらにもう1人を洞窟の中で生き埋めにするべく洞窟を爆破する
- オパール引き上げの為の金の工面でもめた挙句、金でもめた相手夫婦まで殺してしまう
- バルゴンを倒す為の、特大ダイヤモンドを使った作戦中にその特大ダイヤを奪いにくる
ササっと書いただけでもすごい。
最後はダイヤモンドを奪って、逃走中にバルゴンに食われるという自業自得な最期を迎えるのですが・・・。
映画の中で、このオパールは時価1~2億円とか言われていたように記憶している。
その額は、人を何人も殺して、挙句の果てに甚大な被害を出している怪獣を葬る為の秘策にもなるダイヤを奪う程のモチベーションになるのだろうか。ダイヤを奪う際に、「あのダイヤは俺のものだ。俺にも権利がある」などとうわ言を言っている小野寺は論理が完全に破綻してしまっていて、完全に欲に取りつかれてしまっているように見えた。
1~2億のオパールを独り占めする為に、何人もの人を殺してきた小野寺。
「小野寺、悪い奴だ!!」
と、いうのはカンタンだけど、なんか僕は小野寺に寄り添って考えてしまった。
自分に置き換えて考えてみる。
1~2億が一瞬で手に入るチャンスを得たとする。
僕は、遠慮なく言えば仕事はあまりしたくない。仕事で体調を崩したこともあるし、会社の出世競争や数字の為の理不尽な行動、中間管理職の板挟み・・・・もちろん嫌なことばかりではないから、どうにかやれているけど、僕は仕事をしなくていいなら、したくない。
そんな僕に上記のようなチャンスが巡ってきたら。
1~2億得ることが出来たら、今の仕事はしなくて良くなる。
得た1~2億で資産運用の方に回して、運用益で生活が出来るかもしれない。
僕にとって、仕事しなくて良いなんてのは最大の報酬だ。
こういうシチュエーションを目の前にした時に、自制心を保てるだろうか。
自問自答をしてみる。
多分、保てると思うけど、言いきれない部分もある。
そう考えると、僕の心の中にも小野寺はいる。
そんなふうに思うと、子供の頃見た時のように「小野寺は悪い奴だ!!」と断じることが出来ないなと考えました。あそこまでの悪行は出来ないですが。
そんな悪行の限りを尽くしてバルゴンの腹の中に納まった小野寺を見て思ったことは、欲は、良くも悪くも人を動かすということ。
「豊かになりたい」
「便利な生活がしたい」
こんな欲求が元で、僕たちの生活は進歩してきたと思うし、仕事をしている人も多いだろう。この欲求が、人としてやってはいけないことをやってでも実現するんだという方向で行ってしまうと、遅かれ速かれ破綻する。
こうは言いつつも、欲は大事だと思う。
上手く付き合えば、人を動かす原動力にもなる。
大切なのは、「欲に囚われない」ということだと思う。
何事も、「囚われてしまう」状態というのは良くない。
そんなことを小野寺の最期を見ながら思ったのでありました。
昭和ガメラの中で、シリアスで異彩を放つ作品だと思う
昭和ガメラというと、「ガメラ~ガメラ~つよいぞガメラ、つよいぞガメラ♪」のガメラマーチとコミカルな印象が強いが、この「ガメラ対バルゴン」はガメラが子供の見方とかそういった設定もなく、人類の脅威として描かれている。
内容も僕が上記に小野寺小野寺と書いたように、人間側のストーリーもしっかりと描かれていて全体的な作品のトーンとしてもシリアスな感じで、昭和ガメラシリーズの中では異彩を放つ一作。面白かったです。
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