90.1km地点の旧精進小学校エイドを出発。
手元の時計を見ると号砲後10時間18分経過。
残り28kmを4時間42分か・・・。
元気な時なら「楽勝じゃねえか」という感じると思いますが、この時は本栖湖での阿鼻叫喚と軽い精神崩壊を経てどうにか90kmを走ってきて、心身ともにギリギリの状態。
途中で何が起きても不思議ではない。気は一切緩められない。10kmに今の所1時間15分位使うようになってきていて、前半の突っ込み番長大作戦で使った貯金を使いながら進んでいる状況。
この先は登りが多い。ラストの船津の登りには多めに時間を残しておきたい。
補給をミスらない、歩き倒さない。
たったひとつのミスが、唯一にして最大の目標である「富士北麓公園に自分の脚で帰ること」を大きく揺るがすだろう。
確実に、慎重に、一歩一歩進んでいく。
いよいよ、未知の領域である100kmの向こう側が近くなってきた。
様々な方々から、元気を頂いてきた
赤池大橋周辺は、なかなかの登り坂。登りは歩きと走りを混ぜつつ、イケそうなら走り続けていきます。
「なかなかの登り坂」と書きましたが、実際はそうでもないことは昨年夏にロングジョグに来た時走ったので知っているので、「これが壁に見えているなら、気持ちが弱気になっている。強気になるんだ。気のせいだ」と何度も何度も自分に言い聞かせながら進んでいきました。
そんな感じで95.8km、西湖野鳥の森公園エイドに到着。
飲み物を飲みながら、ペース表に目を落とし、残り時間や現在の状況、補給するもの等を整理しているとエイドのお兄さんから「まだそんなにペース表見なくても大丈夫ですよ~!!走れれば大丈夫!!」とお声かけ頂き、少し会話。
こばすけ「ありがとうございます。これ、マジで歩き倒さなければゴール出来るかもって思って見てました」
お兄さん「イケますよ!それだけニコニコしゃべっているから大丈夫!!」
こばすけ「いやー、口は達者なんですが、脚が達者じゃなくて!ではでは行ってきます!ありがとうございました!!」
人との会話に飢えていたのか、お話したらすごく元気になり、次の第六関門西湖公民館を目指していきます。
走りながら、今日も色々な方から元気を頂いたなぁとしみじみ思いました。
まだ快調に走れている頃、応援の方でマイケルジャクソンの格好している人がいた。あれはすごい笑った。横を走っているランナーさんがムーンウォークをリクエストしたらマジでやって下さった。他にも色々声援を頂いた。
エイドステーションでも。スライドするランナーさんにも。
本栖湖での中国のランナーさんからの「加油」はマジで助けられた。
私設エイドをしてくださっている方々にもすごくお世話になった。
先行する奥さんからも「出来るはずだから、粘るのだ」とLINEが来た。
あー、いろんな人に助けてもらってばっかりだなと、しみじみ感謝。
・・・・おっと、今日はまだゴールまで距離がある。振り返っている場合ではない。
まだだ。まだここでは、ゴールは確信出来ない。
感謝の気持ちや楽しい気持ちを燃料に、ゆっくりだけど確実に前進していくのみだ。
第6関門、西湖公民館の歓喜
「西湖公民館に16:15分までにつかないとタイムオーバー」
これは、AM4:00にスタートしているから、号砲後12時間15分後に行かなければならないということ。
2019年から5LAKESに挑戦を始めて、この12時間15分で西湖公民館(98.7km地点)に行かなければならないというプレッシャーが半端じゃなく重く感じておりました。
僕の100kmベストタイムは12時間8分。
つまり、自己ベスト相当、もしくはそれ以上のペースで100kmを走り、そこから18kmおかわりするということ。
この恐怖が、エントリーする時から本番まで僕を支配していましたが、その西湖公民館にたどり着けそうだ。
西湖公民館についた瞬間、「よっしゃ、間に合った!!」と思わず言ってしまう位うれしかったのを今でも覚えています。
ヨレヨレになりながら、芋けんぴを食べ、BCAAサプリメントを流し込み先を急ぐ。
うれしいけど、すごくうれしいけど、まだゴールはここじゃない。
ここから先は湖畔沿いの道を行く道。
景色はびっくりする位きれい。
こんな景色を眺めながら、応援してもらったり、美味しいもの食べたりしながら、「いてえ」「疲れた」とか悪態付きながら日の出前から走れるなんて、本当幸せなことだ。
そんなことをしみじみ思いながら、湖畔沿いの道を走っていく。
股関節、膝、足首、すべての筋肉のすべりを良くするクレ556のようなものはないのか?
そんなことを空想してしまう位、体がギシギシ言っている感じがする。
良い景色と時々通る車から聞こえる「がんばれー!!」の声援に励まされながら進んでいくと、ついに「100km」の距離表示が見えてきた。
来たよ、来ちゃったよ100km。
100km、その向こうへ行こう
いつも100kmといえば、ゴール地点だ。
「おかえりー!!」とかすごく賑やかで幸せな空間を、少し照れながら進んでいく場所。
しかし、この日のゴールはここじゃない。ド派手な演出も、アナウンスも、声援もない。
ただただ無骨な「100km」の表示。
だけど、僕にはこの時、この表示が光り輝いて見えた。やっとここまで来たよ・・・・。
僕はこの時、メンタルフィニッシュしてしまい心身共に動かなくなってしまうのではないか?
ということを出走前に危惧しておりました。
その為、「私信、100km地点の君へ」という自分へ宛てたメッセージを書いておきました。この記事に書いてあることはペース表にも書いてあり、100km通過ポイントの欄には「ここがゴールじゃない。ゴールでずっと待っている完走した自分に会ってこい!」と書いておきました。
今回、自分を鼓舞する為に多くの言葉を未来の、この日に走っている自分に向けてメッセージをブログに書き、そのメッセージをペース表にも書き込んできました。
その言葉達が、僕の背中を押している。
ネガティブな言葉に支配されることもあれば、ポジティブな言葉に背中を押してもらえることもある。自分の言葉は、自分が一番聞いているのでどんな言葉を想うか、発するかはとても重要だ。
そんなことをしんみりと思いながら湖を左手に眺めて走って行く。
大丈夫だ。100kmは通過点だ。体はズンと重さを感じるけど、通過点だ。
さぁ、ずっと体験したいと思っていた、100kmの向こう側だ。
ずっと体験したかった、100kmの向こう側、味わい尽くして行こうじゃないか。
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