色々コンディションに不安がある中での出走で、まさにその不安が的中し悲しみの南房パラダイス。
そして、その後は歩きも入ってしまいつつどうにか距離を刻んでいきながら自問自答。
「最後まで、出来ることをする。足掻く。」
そんな細い細い意思の糸を手繰り寄せながら走ってきた。
そんな館山若潮マラソンもついに30km過ぎの激坂、そしてラストの海岸沿いの道。
この道中で「走力の証明」にはならなかったと思うけど、「走り好きの証明」は出来たのではないか。
軋むケツ、ストライキを起こし始めた脚、それらをどうにか手懐けながらゴールへ向かっていく心境は、何とも自由で、楽しかった。
そんなことを感じたゴール直前。
館山若潮マラソンの振り返りもゴールまで後12kmとなりました。
「館山の鎧さん」との再会
ここでもう一度、館山若潮マラソンの高低図をば。
前半のアップダウンでも巧妙に脚を削り、25km位からはまさに最後の総攻撃という感じ。
いつもならば、これからの30km過ぎの激坂で元気玉を食らうフリーザ様ごっこに興じるのですが、今回は早々にサイバイマンにやられたヤムチャの如く、前半のアップダウンで脚がやられたので、フリーザ様ごっこすら出来ない状態。
スローペースで坂に挑んでいくも、削られ通しの脚がついに痙攣まで始めてきた。
おう・・・ストライキですかそうですか。
会社でも中間管理職。今も「走りたい頭」と「走るのを放棄したい脚」の板挟みにあって、双方の言い分を聞いている状態。
「ええ、ええ、こばすけの頭さんは毛が無い・・・じゃなくて、ゴールしたいと。」
「ええ、ええ、こばすけの脚さんは、もうこれ以上スピード出せない。そもそもちゃんと鍛えて走れる脚にしてくれてないのに、いきなり走れなんてパワハラだと。」
「お互いの言い分はわかりますから、どうにかこばすけの頭さんにはタイムとか、そういうのは譲歩して頂いて、脚がダメな時は歩きも混ぜて頂いてですね・・・ええ、ええ、脚さんは頭さんにそんな感じでお願いしたので、ここはひとつゴールまで踏ん張ってもらえないですかね、ダメな時は歩くように頭さんによーく聞かせたので。頭さんも脚さんもね、ゴールしたいという思いは同じだと思うんですよ。ええ。」
そんな中間管理職丸出しの、話を聞いているだけで実は何も解決していないその感じ。
何でも白黒つければ良いって訳でもない。玉虫色もいいじゃないの・・・・!!
そんな感じで訳のわからない脳内ネゴシエーションを妄想しつつ進んでいくと、玉虫色の脳内とは真逆の、真紅の鎧を着た館山若潮マラソン名物の女性の方発見!!
去年はお見掛けすることが出来なくて、かなり残念だったのですが今年はお見掛け出来、走りながら「おお~鎧さん~!!」と手を振って通過。
なんか、館山の鎧さん(ネーミングがちいかわに引っ張られすぎな件)に再開出来てすごい嬉しい気持ちになって、とても軽快に激坂を攻略・・・出来なかったけどなんとかストライキを起こし始めた反抗的な脚をなだめながら、どうにか激坂も突破。
下り坂は得意だし、好きなので走る走る。
そして、ついに海沿いの道まで帰ってきた。
こういうのが、好きなんだ。
本当今日は応援に背中を押してもらってここまで来た感がいつもにも増して強い。
館山の鎧さんを始め、今年は沿道がすごく賑やかで背中を押してもらえた。
アカペラの「負けないで」を歌っている方たちもいた(この方たちも毎回いらっしゃる気がする。いつも元気を頂いていると思う。)。
なんだかんだで、応援に応えたり、手を振ったりしながら進んでいく道中がたまらなく好きだ。
エイドステーションでのボランティアの方との一瞬のコミュニケーション。
いいなぁ。やっぱり大会いいなぁ。館山若潮、コースは厳しいけど、大会の雰囲気は暖かい。
最後まで!!
アカペラの「負けないで」の応援を聞いてから、去年のチャレンジ富士五湖を思い出した。
初めて118km完走出来た、歓喜の瞬間。確かあの時もゴールで流れていた気がする。
今年も、チャレンジ富士五湖に挑戦する。
今現在までの流れで言えば、相当厳しい道のりになるだろう。
ここからどうやって、心身共に118kmに挑める状態に叩き上げていくか。
現状、118kmを楽しめるだけの力はないと思う。
ゴールに向かいながら、「よし。鍛えまくるぞ!!」と思っているとついに、40km地点のエイドステーションに到着した。
バナナを頬張り、エイドの方にお礼を言って、残り2kmに向けて気合いを入れる。
よーし!!ラスト2km、やりますか!!
最後はぶち上げて終わる。キツいからどこまでブチ上がるかわからないけど、最後は前のめりだ!
- 30km→40km通過タイム:56:19(平均ペース:5:38/km)
- グロスタイム:3時間30分18秒
※残念ながら、3時間30分切りが出来ないことが確定した瞬間でした。でも、この日このタイムでここまで来れたことは我ながらよく粘ったと思います(自分で自分を褒めるタイプ)
「走り好きの証明」
今日は、過去に何回も館山若潮マラソンを走った中で、一番キツかった。
途中で自分のポンコツさ、上手くいかなさを呪い、ケツとハムストリングスの軋む音を聞きながら闇の時間を満喫した。
すっごいネガティブになったりもしたけど、応援の方に背中を押してもらってどうにかこうにか進んでここまでこれた。
「何故走るのか??」
これは、よく聞かれる質問。
この問いに対して明確な答えはまだ見つかっていない。
でも、ひとつ答えらしきものが見つかったような気がする。
キツいことに挑む中でする自問自答が好きなのかもしれないということ。そして、自問自答するとまぁ弱い自分が出てくる出てくる(笑)
その自分に、時に応援の方やボランティアの方に背中を押してもらったり、景色を楽しんだりしながら小さな勝利を積み重ねていって、ゴールへ向かっていく過程が楽しいのかもしれない。
21kmの南房パラダイスからは本当に苦しんだのに、今ゴールへ向かっていくラスト1kmは楽しくて仕方ないし、あんなに苦しんだことも忘れてしまっているような感じすらある。
こういうのが、こういう瞬間が好きで走っているのかもなぁ。
「走力の証明」はまったくもって出来なかったけど、「走り好きの証明」は出来てしまった館山若潮マラソン。
本当に楽しかった。
そんなことを思いつつ、楽しかった気持ちと感謝の気持ち、そして少しの悔しさを胸にゴールしました!!
- 40km→42.195km区間タイム:11:50(平均ペース:4:45/km)
- ゴールタイム:3時間42分08秒
チャレンジ富士五湖への挑戦が、始まる
ゴールして、しばらくするとうれしさ、楽しかったなという感情の他に「悔しさ」という自分としては珍しい感情が湧き上がってきました。
それは、
館山若潮マラソンまでの日々の調整での体調管理、
館山若潮マラソンまでのトレーニング、
館山若潮マラソン当日のペースメイク、
そして一番大きいのが、思い通りいかない日々で、仕方ないさとなんとなくスタートラインに立ち、なんとなく走ったが故の覚悟の足りなさ。
そんな悔しさ・・・が心の奥から湧き上がってくる。
どうにも出来ないことはあるけれど、その中なりでの「覚悟」を作ることは出来なかったか?
色々な悔しさの中で、強く自分に対してそんな問いが生まれてくる。
「覚悟」を作ることは、どんな状況でも出来たはずだ。
やっぱり、「覚悟」なのだ。
そして、次のチャレンジ富士五湖、野辺山ウルトラマラソンはそこに至るまでの日々のトレーニングも当日も「覚悟」なしにはゴール出来るようなものではない。
ゴール後、筋肉痛等で疲労困憊、楽しかったという気持ち、その中に混じる一抹の悔しさ、気付き。
それは、僕に絶対に必要で圧倒的にこの日足りなかったものを思い出させてくれた気がする。
「覚悟」。
なんかすごい燃えてきた。休養した後、覚悟を持ってチャレンジ富士五湖に向けて準備していきたい。
もちろん、楽しむことも忘れずに。
ゴール後は珍しく悔しい気持ちもあった今年の館山若潮マラソン。
過去イチ苦しんだ館山の道中でしたが、たくさん笑って、本当に楽しかった。
来年は心身共に、もっと強く、もっと大会を楽しめる自分になって帰ってくる。
そんな気持ちを胸に館山を後にするのでありました・・・・。
2024年館山若潮マラソン 最終話「走り好きの証明」完
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