ずっと何年も気になっていて読んでいなかった「思考の整理学」。
もっと早く読んでおけばよかった。
20代、いや、10代でも良かったかも。
読み始めて、いきなりギクリとする内容が畳みかけられる。
グライダーと飛行機は遠くからみると、似ている。空を飛ぶのも同じで、グライダーが音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よりもむしろ美しいくらいだ。ただ、悲しいかな、自力で飛ぶことができない。
「思考の整理学」本文より引用
人間には、グライダー能力と飛行機能力がある。受動的に知識を得るのが前者、自分でものごとを発明、発見するのが後者である。両者はひとりの人間の中に同居している。
「思考の整理学」本文より引用
いや、やべーな。自分、典型的なグライダー人間じゃないですか。
暗記力にものを言わせて、受験勉強を乗り切り、その後は美しきまでの忘却。
仕事も基本的には前例踏襲主義であまり考えずにやってきた。特に新卒の頃は。
「特に新卒の頃は」などと書いたのは、転職してそうもいかない状況がたくさんあって前例がない、社内に前任者がいない状況で新規案件を取り組むような状況が続いて、考えることや仮説を立てて行動して、その結果を検証し、再度トライするなどのことを繰り返すうちに思考力が大切だなどと考えるようになっておりました。
仕事に限らず、生きていくうえで正解がないことなんて数知れず。そのたびに自分で考え、その時なりの答えを出していく必要がある。
そんな「思考の重要性」に気づき始めていた中でのこの記述。
この本では、グライダー兼飛行機のような人間となるには、どういうことを心掛ければよいかを考えたい。
「思考の整理学」本文より引用
自分の飛行機能力、これを伸ばしていくにはどうしていくか。
そんなことを思いながら読み進めていきました。面白かったです。
I am グライダー人間
読んでて、ガーンと頭を殴られたような感覚となった「グライダー人間」の記述。
常にそういう風になってしまう危うさが自分にはある。
仕事を前例踏襲主義でこなしてきた僕に、新規事業、前任者もいない、まさに「0→1」案件を任された時は、何をどうしたらいいか見当がつかず考え込んでしまった。
でも、この時に「自分の頭で考える事」「仮説→実行→検証」で行動していくことは面白いということに改めて気づきました。
そういえば、僕は考えることが好きだった。
いつの間にか、仕事を無難にこなすことばかりに頭が行ってしまい、考えることを放棄していたようだった。
気が付いたら、グライダー人間に僕はなっていた。
グライダーはダメなのか?
そもそも、グライダー人間はダメなのか?
この書籍でも、「グライダー能力」と「飛行機能力」はひとりの人間の中に共存していると言及されている。
こう書くと、学校という教育システムの批判になりかねないが、学校は確かに受動的に学ぶ場所だった。
受動的な詰め込み型教育の是非は、毎回様々な場面で議論される所だが、僕は詰め込み型教育も悪くないと思っている。
というのも、「考える」には材料が必要だからだ。
「材料」とは、先人の知識や歴史の集積、学術的なこれまでの積み上げ等の所謂「教養」と呼ばれるもの。これらを網羅的に学んで自分の頭の中に集積させていくことは、思考していく上で不可欠なように思う。
でも、集積させていくだけだと「グライダー人間」にしかならない。
何が必要なのか。
考えることを放棄しない
得られた知識を元に、考えたり、仮説・検証をしたり、そういったことがあまり学校教育の時点でないことが問題だったのではないか?と僕は思う。
特に最近はなんでも「正解」のようなものがすぐにスマホで調べれば出てくる。
情報が多いことはとても良いことだと思う。
でも、この情報を前に「自分はどう思うか?」「自分はどうしたいか?」これを考える癖をつけていくことが大切な気がする。
生きていくうえで、正解のない問題は多い。そういう時にこそ、今まで得てきた知識・教養・経験・調べて得た情報・周囲の方の知識、それらをフル動員して自らの頭で思考し、答えを出していく。
こういった考えることを放棄しないこと、これが大切なように思う。
考えることは楽しい
結構ハチャメチャなことを考えたり、仮説を立てて行動して大失敗することもあるのですが、こういった失敗も、誰に強制された訳でもなく、自分で考えてやった結果なので割とすんなりと受け入れることができています。
何より、こうやって考えてやることで「やらされている感」は全くないですし、起こった全てのことを誰かのせいにするとかそういうこともなくなるので、いい意味で「原因は自分だよね」と思えるので何をしていても、楽しめています。
そう。考えることは楽しい。
とはいっても、僕の中にもグライダー能力と飛行機能力、どちらも備わっている。「どちらも」などと書いたけど、気が付くとグライダー能力ばかり使っているようになりそうなので、考えることを放棄せず、飛行機能力もフル稼働して生きていきたい。
考えることで物事は楽しくなる。きっと人生も楽しくなる。
この本は、節目節目で読み返していきたいと思います。
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