首都高に入り、エイドステーションの位置を勘違いしたり、少し疲労の影が出て来たりと少しづつではあるけど、雲行きが怪しくなってきた。
しかし!!
今年に入って、どれだけの死線を潜り抜けてきたか。
チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンで沈み、
野辺山ウルトラマラソンでは後半タレ散らかし、
奥武蔵ウルトラマラソンでは、マグマスパゲティならぬマグマスパートをかました。
彩湖8耐では、あまりの暑さに車に逃げ込んで「さまよえる蒼い弾丸」を聞きながら体を冷やした。
どれも、おバカなことばかりしてきているが、真剣そのものだ。
そう。
僕の真骨頂はキツくなってから。
まさに、今、ここからなのだ。
奥さんとスライド
首都高を折り返して、あまりに遠くに見えたランドマークタワーにうんざりしながら進んで行く。
このゾーンは、スライド区間なのでこの日サブ3.5を目指す奥さんともすれ違うはず。
奥さんを探しながら、進んで行くがこの高速の微妙なアップダウン、風、気になるなぁと思いつつ進んで行きます。
そんな感じで進んで行くと奥さんとスライド。
たがいに、手をあげてエール交換。
うん。さすがは奥さん。元気そうでした。
僕と奥さん。
走歴も同じで、陸上未経験で走り始めて、もう10年になります。
そんな感じなのですが、ランナーとしてのタイプが全く異なります。
「スピードは出るが、長距離が苦手な僕」
「スピードは苦手だが、長い距離が得意な奥さん」
奥さんは、チャレンジ富士五湖118kmも3回完走していて、12時間走でも入賞が2回あるツワモノ。
後半ラップを落とすことは考えずらいので、多分達成出来るな・・・。
むしろ、俺、ラップが徐々に落ちてきている。
4:35/km近辺をマシンのように刻んできたはずが、今では努力感満載で4:50/kmとかになっている。
やべえな・・・・。
時計に表示されている平均ペースも、このままイーブンで行くと3時間15分切りは厳しいことを示している。
30kmを越える頃には、ラップタイムが5:15/kmあたりになっておりました・・・・。
マシンガン打線の銃口が僕に向いている
何故だ。
あと12kmだというのに。
マリノスのチアも、ベリーダンスも、見たら超元気もらえるんだけど、元気もらえているのに体が動かない。
3つ持っていたジェルも後1つしかない。
糖質不足か。
なんだか脚にも力が入らない。
「高速のバンク?そんなの気にしないです。気にしたら負けなんで」とレース前会見があったら(ある筈がない件)、豪語していた位、気にしていなかった「バンクで脚がやられる」とかそういうやつなのか?
あるいはこの鬱陶しい、嫌らしく吹いている風なのか。
考えながら走っていて、この日初めて顔を拭うと、
「ジャリ」
と、音がして、顔が塩吹いていることを確認。
慌てて塩熱サプリを口に放り込み、
「色々あるけど、あと10km位だから。あと少し。キロ5で行っても後50分でゴール。」
そんなことを思った瞬間、「俺、もう3時間15分切り諦めているやんけ!!」と笑ってしまいました。
そう、諦めの速さと割り切りと下方修正の速さが僕の強み(いやそれ弱みだろw)。
ここからは、「プランB」の「自己ベスト(3時間27分)更新」だ。
これは、何が何でも達成する。
そう思い、脚に力を込めた時、
「あ・・・!マジか」
苦笑いと共に、思わず声が出ました。
脚が・・・脚が痙攣しとる・・・・・。
ヤバいな。
「バンクにやられたのか脚に力が入らない」
「脚の痙攣おっぱじまってる」
「いやらしく吹いている風」
「首都高のアップダウン」
「首都高に上がってからの暑さ」
この5つが、まるで98年ベイスターズのマシンガン打線の如く、怒涛の攻めを僕にしてきている。
確かに、僕のベイスターズ愛は屈折している。
屈折しているけど!!
俺に、マシンガンの銃口を向けるとはどういうことなんじゃー!!!
「どう始まるかではなく、どう終わるかが大事」
首都高湾岸線に入り、僕と横浜マラソンの戦いは完全に横浜マラソン優位に進んでいる。
僕はというと、毎度おなじみの精神崩壊を起こし、どうにか4:50~5:10/kmあたりのペースをキープしている状態で、ペースを上げようとすると脚が攣りそうになるため上げれないという状況でした。
少し、落ち着こうということで、スタートしてからずっと気になっていたトイレへ行くことにしました。
ここで用を足したことで、少し気持ちに落ち着きが戻ります。
トイレから出て、ボランティアの方と少しお話ししてコースへ戻ります。
こういう少しの人とのやりとりが本当に元気が出ます。
走り出したら、ベイスターズのラミレス前監督の好きなフレーズを思い出しました。
「どう始まるかではなく、どう終わるかが大事」
そうですよね。監督。
どう終わるのか。この横浜マラソンを僕はどう終えるのか。
それを決めるのは、僕だ。
僕の心に、目に、脚に、力が戻ったような気がした頃、長かった首都高湾岸線の戦いも終わりを告げた。
残りは後7km。
ゴールへのカウントダウンが始まる。
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