49.5kmの小海中学校横公園エイドを出ると、基本的に登り基調。
息の切れないペースで進んでいく。
エイドを出てすぐの介護施設では、毎年入居者の方がガラス越しに応援してくれている。
職業柄、手を振らずにはいられないし、すごく手を振ってくださるのですごく元気が出る。
ほっこりしたのも束の間、ここから野辺山は一気にキツくなってくる。
北相木村役場のスライドゾーンの復路は下り基調だけど、それ以外は馬越峠のてっぺんまでは登り基調。
気温も上り基調。
僕の走力だと、馬越峠の登りを全走りするとおそらくその後がもたないし、そもそも走れないから、全捨てで歩く。
だから、そこで大手を振って歩くためにも馬越峠までのゾーンはがんばらねば。
正確に言うと、南相木村役場(67.8km地点)から馬越峠の間もかなりキツイ。
つまりは、今走っている所(50km地点)から南相木村役場(67.8km)までをどれだけ上手くまとめることが出来るか。これが肝となる。
いざ、完走出来るかどうかの分水嶺。
ここからが本当の勝負所。
色々前置きが長くなったけど、ここが勝負所。
かなりキツくはなってきたけど、ここで歩き倒したら先月のチャレンジ富士五湖と同じ結果になる。
ゆっくりでもいいから、歩を進めるんだ。
そんなこんなで進んでいくと、スライドゾーンに突入。
反対車線には、毎年一家総出で応援してくれる私設エイドがある。毎回すごく元気を頂いている。
毎年ありがたいなぁと思いつつ手を振る。そして来るたびにお子さんが大きくなっていることに驚く。なんか完全に親戚のおじさんみたいな気分です(;^_^A
写真を毎回取り忘れるんだけど、この折り返し地点に向けて進んでいくと視界に「ゴリラ山」が見えてくる。よく見ると、本当にゴリラが横たわっているように見える・・・すごい。
これが見えてくると折り返しももうすぐ・・・と思えるのと(実際はまだまだ先ですが)、この日バナナを食いまくっている自分はまさにゴリラだ・・・と思う。
そして、僕も横になりたい(切実)。
横になるのは、ゴールした後と自分に言い聞かせて、踏ん張って踏ん張って、ついに折り返しの北相木村役場に到着。

パインスティックと湘南ゴールドエナジーを頂いて、水をバシャバシャ被っていざ折り返しの復路へ。
これまでの経験を、知っていることをフル稼働せよ

折り返しの復路を進んでいくと奥さんとスライド。
先月のチャレンジ富士五湖でも見事に5LAKESの部を完走し、安定感抜群の奥さんなのだが、この日は何故か10km過ぎ以降は僕が先行。まぁ間違いなく追い付かれるので何も心配はしていないのですが、なんか不思議な感じ。
奥さんは本当に強い。野辺山の2023年大会では年代別で入賞したし、富士五湖の5LAKESも5回位完走している。
トレーニングも僕よりガッツリやっているし、本当にすごい。
そんな奥さんとエール交換をして、進んでいく。
それにしても、なんか暑い。
2017年、2023年大会と比較すれば、そこまでの暑さではないかなと思うものの、なんか熱が体にこもる感じがあるし、なんとも体が重くなってきている。
暑さに関しては、体を濡らして気化熱で冷やしていくしかない。暑さでテンパってがぶ飲みするとマーライオン一直線。この失敗で2017年は噴水のように吐いて馬越峠でリタイアした。
体が重いのも、少し歩きを混ぜたり、上半身のストレッチをしたりして、誤魔化し誤魔化し進んでいく。
後は、どんなにしんどくなっても「あ、それ想定内なんで」といなすことが重要。
これが出来るか出来ないかで、ネガティブに飲み込まれてしまうかどうかが決まる。
- 暑い、寒い、風?→「はい、どんな天気も想定内なんで。はれときどきぶたでも驚きませんが何か?」
- 疲れた?→「そりゃアンタ、100kmも走ろうとすれば疲れるよ。」
- 吐きそう?→「そりゃ飲み食いしまくって、走りまくってりゃそんなこともあるよ」
- 脚がいてえ?攣りそう?→「あはは。想定内でーす」
- つらい、やめたい?→「このまま走るのも辛いけど、諦めた方がもっと辛いよ」
岩本能史さんの「完全攻略ウルトラマラソン練習帳」に書いてあったけど、とにかく客観的に自分を見ること。これが重要になる。
僕がDNFしてしまったり、レースで心が折れてしまう時は悪い方に入り込んでしまうことがほとんどだ。
自分のことを客観的に見る。
究極的には「どうせこのヒト、ゴールしたら全て忘れて楽しかったって言うんだから。」って思って自分を見るように心がけています。
客観的かつ冷静であることは本当に重要。
しかし、燃えるような気合いがないと前に進めないのも事実。
このいい匙加減をいつか、見つけたい。
自分の心身に起こる変化を今までの戦いで得た経験や知識で捌きつつ、どうにかこうにか前進を続け、ついに67.8km地点の南相木村役場エイドに到着した。

ここから馬越峠頂上までは登り基調。
そして、今回コース変更となった馬越峠のコースがついに牙をむく。
水を被って、果物頂いて、いざ馬越峠へ。
2025年野辺山ウルトラマラソン振り返り 第五話「滝見の湯エイドの思い出とシン・馬越峠」
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