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2026年館山若潮マラソン振り返り 最終話「ギリギリの攻防」

館山若潮マラソン
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30km地点の坂の頂上で聞いた、

「ビルドアップすれば、3時間15分切り狙えますよ」

は、僕の心をすごく揺さぶった。

「いや、そんなタイムは頭に全くなかった」・・・などと言ったら嘘になる。

なぜなら、大会前にこれまでのトレーニングで走れたタイムから、3時間15~40分位のフィニッシュタイムを予想していたから。

ペース上げるか??

一瞬、ペースを上げたい衝動に襲われたが、実際今日の42km走り切れそうな上限のペースで走っている訳だから、この日はこのペース、リズムを堅守した方が良い。実際、少し上げることを試みたけど、到底無理だった。

危ない危ない。

「走りたいタイムと走れるタイムは違う」と、あれほど自分に言い聞かせてきたのに。

思わぬ誘惑があったけど、「航路を守れ」ということか。

船盛エイドの暖かい紅茶を頂いたら、ブレそうになっていた気持ちに落ち着きが戻ってきた。

さぁ・・・・後半戦だ。

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限界のシグナル

「3時間15分切りの可能性アリ」

これは、僕の心を大きく揺さぶったけど、ここまで感覚頼りで走ってきていて、限界は近づいてきていることはなんとなく感じていた。

根性とか気合いとかはラスト5km位から使いたかったけど、どうもその辺りも動員しつつリズムを保持していかないとダメそうな感じ。

下り基調の道をスタスタと進んで行き、いよいよ海岸線の道へ戻ってきた。

前回出た時に撮った画像。

ここに帰ってくると「あと少し!!」と思うけど、実はまだそんなでもない罠。

しかも、この後も地味にアップダウンがあったり、遥か遠くにゴール地点のヤマダ電機の看板が見えて、あまりの遠さに毎回絶望する区間(;^_^A

この辺りから、脚に少し異変が現れ始めていた。

ふくらはぎ、内転筋がピキピキしている!!

やべえやべえ。

時々、大きく痙攣して攣りそうになるので、その時はペースダウン。

経験則的に「バキーン」と派手に攣ったら、しばらくは止まることになる。

それは避けたい。

塩熱サプリを口に放り込み、エイドでポカリを頂き、攣りの原因のひとつと思われる電解質の不足と脱水をケアしていく。

「どうにか持ってくれ。もう10km切っているんだ。」

随分反抗的になってきた体にお願いしながら進んで行く。

ここまで全然荒れることのなかった呼吸もいよいよ弾んできた。

小さな勝利を積みかねた先に

37km地点のエイドでこの日初めてのバナナを頂く。

バナナの皮をむきつつ、食べる間数mウォークブレイク。動きを変えて気分転換。

ウォークブレイクしつつバナナを食べるのは、結構時間のロスだったかもしれないけど、ここからゴールまでの踏ん張りにかなり生きたように思う。

バナナを食べるとなんかすごい元気が出た。

いつも思うのが「噛む」という動作が、脳に「メシを食べましたよ」というシグナルを送るのではないかと思う。明らかにジェルを飲むよりも「効く」気がする。脳が元気になるというか。

そんな感じで元気にはなったけど、やっぱり体中から出る限界のシグナルは止まる気配がない。

「最後まで自分のリズムを堅守したい」

という意思に対して、無限に湧き出る止める理由。

「疲れた」

「脚いてえ」

「攣りそう」

「歩いても自己ベスト出るんじゃね?30km時点で3時間15分切りの可能性があったみたいだし」

「あまり追い込み過ぎるとダメージ残るよ」

「その日の上限でいいんでしょ?もう十分上限で走ったよ」

さすがは言い訳のプロ。我が脳よ。その小賢しく回している脳のリソースを少しは前進する力に回してくれ・・・。

無限に湧き出る言い訳、妥協案を退け、一歩一歩の中に小さな勝利を積みかさねていく。

いよいよ沿道の方の応援の声が「がんばれ!」から「おかえり!」「あと少し!」に変わってきた。

1km1kmが本当に長かった。多分失速もしていると思う。でもこの日のベストは尽くしたと思う。

ついに40km通過。この日初めて時計を見る。40km地点で時計を見て、上げられるようなら上げるということは決めていた。

4:15/km以上で走れば、3時間20分切れる!

ペースを上げられるのか・・・・?わからないけど、やってみよう。

歓喜の自己ベスト

「おかえりー!!」

そんな声に背中を押してもらいつつ、力を振り絞る。

多分、4:15/kmなんて出ていない。脚に力が入らない。ピキピキしてる。でも、振り絞る。

なんか頭がボーっとしてきた。

不思議な感じだ。

なんか、2023年にチャレンジ富士五湖118kmを初めて完走出来た時もこんな感じだった気がする。

めっちゃキツいんだけど、「前進する」という選択肢しか取らない状態。

後から振り返ると、何かがプッツンしていたような感じ。記憶があるんだけど、ないというか。

いつも余計なことを考えたり、雑念だらけの頭の中が「凪」の状態になって静まりかえっている。

人生の中でこの状態に入りこんだことはそんなにないけど、多分限界ギリギリの所なのだろう。

めっちゃ苦しいんだけど、心地いい感じ。

フィニッシュゲートが見えてきた。

ようやくこの苦しみから解放される。

でも、この「凪」の状態からも脱してしまう。

次、この状態に入れるのはいつかな・・・・!

そんなことを思いつつ、ゴール。

時計を見ると、驚愕のタイムを叩き出していた。

3時間20分は切れなかったか・・・とも思ったが、自己ベスト更新!!

もう本当にびっくり。

30km以降のラップがこちら。

失速はしているんだけど、これまでと比べると失速具合がマシという感じで粘れている感じ。

そうか・・・自己ベストか・・・よかった・・・・楽しかった・・・・・

「あれ??」

なんか気持ち悪くなってきた!!

めっちゃ脚いてえ!!

なんとか奥さんのゴールをお迎えし、着替えに向かおうとすると、内転筋、ふくらはぎが一歩歩くたびに痙攣を起こす有様(;^_^A

スポドリを頂いて、バナナを食べている間も痙攣は治まる気配はない。

そして、たまらず座り込むと「バキーン」と両ふくらはぎが攣ったw

「ぐあああああ!!!いてええええええ!!!!」

と叫びたかったけど、叫んだら救護の人が飛んでくること不可避。

ぐぬぬ・・・・なんとか自分で処理できる。待ってればこんなものは治まる。耐えるのだ。所詮数分の痛みに耐えればいいのだ。

もう攣りに任せて芝生の上にゴロンと転がる。

すげえ痛い。右が治まったら、左。次、また右。

攣りが治まるまで眺めていた館山の空は、今まで見たことないくらい真っ青な空だった。

エピローグ

あの奮闘から数日。

ゴール後に攣りまくったふくらはぎはいまだに張りがあって、走れそうにない。

この甚大なダメージが、自己ベストを出した代償だし、次自己ベストを出せるタイミングはこの日走れたタイムで何度か走れるようになった後だろう。このスピードでフルマラソンを走ることに体が適応した後・・・というイメージ。

ダメージがこれだけ甚大だと、このスピードでフルマラソンを走ることに適応していないことは明白。

そこに適応していけるように、そしてまたあの「凪」の時間に入れるように、ダメージから回復したら走りたい。

そして昨年の館山若潮マラソンから一年。この一年間、というか2023年末からは主にプライベートで本当に色々あった。

その中で自身の生活がどうなるのかとか、趣味のランニングも思うように走れなくなって、腐りかけたり、自棄になりかけたり、なんか怒りが収まらなかったり、結構精神的に不安定になりかけることもあった。

その中でも、なんとか、どうにか、自分なりに出来ることをやってきて、プライベートの方もどうにかなったし、劣化しまくった走力も叩き直すことが出来た。

「他人と、過去の自分と比べない」

「ブレない」

「自分に、今に集中」

「一歩一歩の積み重ね」

いつもいつも意識している言葉達だけど、昨年の館山若潮マラソン以降で一番意識したことだし、今回の館山若潮マラソンで快走し、楽しめたのも、この言葉達のおかげだと思う。

なんか、自己ベストが出たこともうれしかったけど、色々あった中でどうにかこうにか、前を向いて今に辿り着けたことが一番うれしいのかもしれない。

人生も、ラン人生も、これからも色々あると思うけど、一歩一歩の中に小さな勝利を積みかさねて生きていきたいと思う。

2026年館山若潮マラソン振り返り 最終話「ギリギリの攻防」完

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