「これを続けていけば、どうにかなるかもしれない」
そんな手ごたえを得た、ゴールした人で溢れかえる阿夫利神社で景色を眺めつつ思ったこと。
久しぶりにゴールした時にホッとしたというか、充実感というか、楽しかったなとか、そういう気持ちが湧き出てきた。
昨年から、プライベートで色々あって体調を崩して、その後故障とか何もないんだけど思うように走れなくなり、昨年末からは走行中に脚が抜けるような感じとなり、脚がどこに接地しているのかもわからなくなってしまう症状が出始めて、僕のランニングは混迷を極めていた。
ついさっき完走した大山登山マラソンも、1月末には出走をやめようかと思うレベルで厳しい状況だった。
そんな厳しい状況で、色々なものを捨てて、削ぎ落して、どうにかゴール出来た。
この大山登山マラソンの振り返りは、今年に入って削ぎ落した話から始めていきたいと思う。
一大事

1月末に出走した館山若潮マラソン。
タイムもここ数年ではあまり良くないとか、色々あるものの、何より問題だと思ったのが、全く楽しめなかったこと。
抜ける感覚の脚、踏ん張れない体、複雑骨折の心・・・
確かに2024年は色々あった。今もその問題は継続中だ。でも、ここまで走れなくなるものなのか。
そんな悶々とした気持ちで、館山を後にしたことを今でも覚えている。
その後も4月のチャレンジ富士五湖に向けて50kmロングジョグをした時も、終始脚が抜けるような症状が出て、全く感覚が良くないし、楽しくない。
なんか走りながら、色々あったせいだとか、全部それのせいとか、とめどなく考えてしまってグチグチグルグル、自分でも止めたいんだけど止まらない負のループに入り込んでしまっていた。
この「楽しくない」という感情は、僕にとっては一大事だった。
削ぎ落してみることにした
こういう時、僕はひたすらに自己分析をすることにしている。
紙にひたすら書き出してみた。
僕がランニング中に考えていることは、とどのつまり「こんなはずじゃない」ということ。
「もっと走れた筈だ」「なんでこんなことになったんだ」「あんなことさえなければ」、と。
メンタル面の課題の他に、脚の接地感の悪さと抜けるような感じは過去にも同じ症状になったことがあって、裸足かルナサンダル、ビブラムファイブフィンガーズ等のクッション皆無のシューズで走れば解決に向かうこともわかっている。
でも、それに全振りする勇気が出ない。
間違いなく、計画しているトレーニングは出来なくなる。スピードも出なくなる。
富士五湖、野辺山とDNFの山を築くかもしれない。
そのあたりのことも色々紙に書きだしていくと、とどのつまり、過去の走れた自分(あくまで自分比ですが)にすごく執着していて、それを手放すのが僕は怖いようだった。上手く言語化出来ないけど、見栄のようなものもあった気がする。
時期を同じくして、僕はただでさえ少ない家のモノをさらに捨てていた。徹底して手放した。
B‘zの「だったらあげちゃえよ」ばりに捨てていた。
真新しいハートにでもなりたかったのだろうか(;^_^A
でも、本当に手放すべきは過去に走れた自分への執着と見栄のようなものだ。
色々逡巡したし、ベアフット系とシューズを履き分ける折衷案も考えたけど「いつかはベアフット系でウルトラを完走したい」という数年越しの願望も背中を押して、思い切ってビブラムファイブフィンガーズとルナサンダルだけで走ることにした。
走るペースも、週間走行距離も、かなり落ちてしまったが、走っている時の感覚の悪さはどんどんなくなってきていて、気持ちよく走れることが増えている。
そして、悪い、ネガティブなイメージが出てきた時は、これはランニングの本ではないのだけど「反応しない練習」に書いてあった「足裏に意識を集中する」というのをやると良いことを発見した。ベアフット系だからより、それをより意識しやすかったのかもしれない。
自分への執着や見栄のようなもの、そしてギア、色々なものを見直し、削ぎ落してきた。
そんな感じで、物質的にだけでなく、精神的にも随分身軽になって、大山登山マラソンの日を迎えた。
自分の感覚だけを頼りにスタート。

いつもと違い、この日は電車で会場入り。
なんか最近の大会の日の朝は「このタイムで走れるだろうか?」とかそんなことばかりが頭の中をグルグルしていることが多かったが、この日はそんな感じは一切なく、なんかゆるーい感じで過ごしていた。
便所でお花摘みをしつつ、会場の雰囲気を楽しみながらスタートを待つ。
なんか色々捨てたから、新しいものが入ってきたのかもしれない。そして、僕にはこっちの方が性にあっているなとなんとなく感じる。
そんな感じでのんびり過ごしているとあっという間にスタート前の整列が始まる。
会場の小学校からスタート地点の伊勢原駅まで歩いて移動だ。

「すごい人だ・・・・」
「天気回復してくれてよかった・・・・」
そんなことを考えていたら、あっという間にスタート。
とりあえずゆるゆるとスタート。
「タイムはこれくらいで・・・」とか何も考えていないノープランの自分に改めて驚きつつ、いい天気だなと思いながら、すごく身軽な気分で大山に向かって走り出した。
2025年大山登山マラソン 後編「ひとつの手ごたえ」に続く。
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