「法螺貝の音がスタートではありませーん」
「法螺貝の音がしたら前へ移動してくださーい」
大会運営の方の声が響く。
だよなぁ。法螺貝がスタートだと思って走り出してしまいそうだ。
お坊さんが法螺貝を用意している。
運よく近くで見れたので、すごくうれしかった。
ついに法螺貝が炸裂!!こんな近くで聞いたの初めてだわ・・・!!
そんな感激を味わいつつ、ついに天狗のこみちマラソンがスタートした。
天狗のこみちマラソン、ついにその恐ろしさの全貌がわかる
ついに天狗のこみちマラソンスタート。
久しぶりの大会でテンションアゲアゲ、そしてスタートしてすぐ下り坂であることから、ビュンビュン走っていきます。
あっという間に1km通過。時計を見てみる。
「3:40/km」
???
こんな数字、ヤバい。アカン。本当に下りで脚が終わってしまう。
少しセーブして走るも、次の1kmも3:44/km。
・・・もういい。もういいさ、やってしまったものは仕方ない。
3km手前位からは登りだす。そこで大腿四頭筋には休んでもらおう。
そんなことを思いながら、下りパートを抜けて今度は登り。
ちょっと!これ斜度すげえ凶悪じゃん!!
大会出走前に「足柄峠よりはマシ」「野辺山とかオクムでアップダウンは嫌というほど経験しているしどうにかなるっしょ」とかあまりヤバさを検証せずにいた自分を張り倒してやりたい。
下り坂から始まり、大腿四頭筋をまず破壊して、そこから登って心肺とハムストリングス・ケツを苛め抜き、そして下りで再び大腿四頭筋を攻撃、ラストのずっと登りのコンボで悶絶させる仕様か。おそるべし天狗のこみちマラソン。
走りながら天狗のこみちマラソンの恐ろしさに気づいたのも後の祭り。もう走って行くしかないし、これを楽しむっきゃない!
思わず笑ってしまう、そのキツさw
この日は曇っていて、蒸し暑いけど、きっとこの時期としてはコンディションが良いはず。
コンディションは良いはず・・・なんだけど、登りに入ってからありえない位体が熱を出している!!
あちい。あちいよ。
事前に大会のコースマップを見ている時に「10kmの大会なのに、給水所がたくさんあってありがたいなぁ。だけど多分ほとんどスルーだなぁ」などと思っていた自分を張り倒してやりたい(この日2回目)。結局すべてのエイドでスポンジを頂き水被りをしましたw
スポンジを使うなんて、初めてのことだ。結構これ気持ちいいかも。
5km過ぎて折り返すと、今度は下り。
すでに大腿四頭筋が逝ってしまっている。いきなりあんなスピードで下ったツケが来ているなぁ。
だけど、下りきった後は登りしかない。ここはプッシュだ。
下って登って、ジェットコースターのようなコースで楽しいんだけど、マジでキツい!!
最後の下りを終えて、ついに最初に下ってきた所に帰ってきた。
杉並木が並んでいる感じは、すごく涼しげに見えるんだけど、下って登ってを繰り返してきた僕の体はオーバーヒート気味。
「ここからゴールまでは登りかぁ」
なんかキツすぎてヤバいんだけど、ちょっと笑っている自分がおりました。
階段地獄の果てにゴール!そして奥さん年代別入賞。大満足で帰宅。
ラストの登りは階段が散りばめられた2.5km。
事前に決めたマイルールは「どうしてもキツければ階段は歩いてもOK」。
他はどんなにヨチヨチ走りになろうと走る。
ここで走れなければ、秋のアクアラインマラソンの後半に待ち構えている坂祭りで、太刀打ち出来ないだろうし、来年チャレンジするであろうチャレンジ富士五湖や野辺山ウルトラでも厳しいことになるだろう。
何より、ファイティングポーズを崩さないこと。前のめりでいること。
それが大事なのだ・・・・とわかってはいるが、この斜度はヤバい。
走るのに体が馴染んだ頃に階段がやってくる。走って登れないかやってみたけど、膝が笑ってて階段はキツい。パワーウォークでガシガシ登っていくしかない。
しかしだ・・・
何でも事前に調べた情報によると、大雄山最乗寺は天狗が岩を砕いて作ったとかいう伝説が云々とあったけど、何故天狗は岩を砕く位の能力があったのに、フラットな所にお寺を作らなかったのか。
そんなことを妄想する。
フラットな方が行きやすいではないか。
それでもあえて、坂にしてお寺に来る時の運動負荷を上げた理由は何なのか。
これは天狗の「民よ、より良く生きるには運動せよ。」というメッセージなのではないか。
やっぱり脳を鍛えるには運動しかない的なやつなのか。
それにしても天狗が開山して何年経ったかわからないけど、まさかこんな妄想族ランナーが登ってくるとは天狗も想像しなかっただろう。
なんかそんな訳のわからないことを妄想しつつ、どうにかこうにか歩きたい自分を奮い立たせてようやく見えてきたラストの階段。
ラストの階段を見た時、なんとも言えない安堵感がありました。
この半年間、本当に家庭事情のアレコレで苦しんだ。
最悪の場合を考えると、夜も眠れない時があった。
それでも、ひとつひとつ出来うる最善の策を打っていった。
その過程は、今までやってきたランニングのようだった。その時その時のベストを尽くしていくこと。
前進することを止めないこと、諦めない事、放り投げない事、逃げない事。
自分のネガティブな内なる声に耳を貸さないこと。
過去でも未来でもなく、今に集中すること。
家庭事情のアレコレは、まだ完全に収束ではないけど、最悪の事態は回避出来た。
だから、この日もここを走れている。
そして、再びランニングの大会を楽しむことが出来た。
応援の中走れること、普段走らないような所を走れること、普段のランニングではやらない位プッシュして走る事、普段見ないような景色を見れること、走った後の最高な爽快感。
なんか、すごい大袈裟だけど、僕の人生にランニングがあって本当に良かった。このゴールする瞬間だけでなく、この半年間の間も走ることで救われた部分は相当あったように思う。
そんなことを一段一段登りながら噛みしめて、最高の気分でゴールしました!
ゴール後は奥さんのゴールを見届けて、その後奥さんの年代別入賞のカメラマンをして、アルトラのシューズが当たらないか期待しまくった抽選会は安定のハズレ・・・(抽選とか福引とか、当たったことがない(;^_^A)
ゴール後に飲んだコーラは、今年一番の美味しさでした。
大満足で会場を後にして、すっかり気に入った大雄山線に揺られて帰宅。
久しぶりの大会。久しぶりに坂で悶絶。本当に最高の一日でした。楽しかった。
2024年天狗のこみちマラソン 後編「想像以上の楽しさ、キツさ。足柄ジェットコースター。」完
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